大地のコレクション展2022

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田中 芳

田中 芳 1959 - 2013

田中 芳 1959 - 2013

田中芳は、草や木や石や土、降る雨や雪、流れる水、吹く風など、自然をテーマにしながら大胆な構図で描く日本画家。「庭」「流れ」「松」など具体的なイメージの作品もあるが、「□△○」など、幾何学形の支持体に描くなど「線」「塵」のシリーズでは一本の抽象化された線で自然観宇宙観を表現してきた。いずれの作品も銀箔や金箔、玉虫箔などが使用されており、箔の持つ雅で華やかな輝きを活かしつつも、作風はこのうえなくシンプルでモダンといえる。

国内外の個人コレクターを初め、城西大学紀尾井町キャンパスやザ・ペニンシュラ東京などパブリックコレクションが数多くあるが、その静謐な作風が周囲の空間を抱き込む魅力に溢れている。

■略歴
1959 東京生まれ
1979 京都日本画専門学校にて学ぶ
1984 安宅賞受賞
1986 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
1988 東京藝術大学大学院修士課程美術研究科修了
2013 逝去

■主な個展
2013 田中芳-けれども、たしかにある光 アートフロントギャラリー、渋谷ヒカリエ/東京
2005 線Ⅷ ポンデザールのアーチストたち / 埼玉
2009 輝ける塵 千雅堂 / 埼玉
2008 □△○ わたなべ画廊 / 埼玉
2005 線Ⅷ ポンデザールのアーチストたち / 埼玉
2003 線Ⅴ ヒルサイドギャラリー / 東京
2001 “庭”から“線”へ 山猫軒 / 埼玉
1992 あるということー記憶 ギャラリー+1/ 東京
1991 室外のものたちへ 秋山画廊 / 東京
1989 庭 GINZA GALLERY 中沢 / 東京 

■主なグループ展
2015 大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ ぶなの木学舎 / 新潟
2009 春風献上 ヒルサイドフォーラム(企画:アートフロントギャラリー) / 東京
2007 コレクション展 VOL.2 ヒルサイドフォーラム / 東京
2006 BONSAI 2006 チェコ国立博物館東洋館 / プラハ
連画 アートフロントギャラリー / 東京
2004 彩象2004 埼玉県立近代美術館 / 埼玉
ART / ROOM展 アートフロントギャラリー / 東京
2002 刻を紡ぐ 文化創造アトリエアミーゴ / 埼玉
絵画の今 入間市博物館 ALIT / 埼玉
2001 SIX DIRECTIONS ヒルサイドフォーラム / 東京
1997 膨張10×10 所沢ミューズ / 埼玉

■パブリックコレクション
関西電力本社ビル、城西大学紀尾井町キャンパス、ザペニンシュラ東京、セントレジス大阪、上海Four Seasons Hotel、代官山アドレスほか

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《田中芳 けれども、たしかにある光》展示風景 2015年 大地の芸術祭2015 Photo Ishizuka Gentaro

2013年に逝去した田中を偲び、2015年の越後妻有トリエンナーレの川西エリアにて、ぶなの木学舎という古民家を使って個展が開催された。亡くなる前に刊行された作品集《田中芳 けれども、たしかにある光》と同タイトルの展覧会では、築240年になる古民家に初期から晩年の作品が展観された。

展示風景 photo : Ishizuka Gentaro

作品を展示しているその建物は、240年前に建てられた「ぶなの木学舎」という古民家。豪雪を耐え抜いた骨太な日本家屋に、作品はすっぽりはまり込んでいます。その姿を見るにつけ、作家が生涯をかけて追及してきた、「空間と日本画との関係性」というテーマが如何なく発揮されている空間になったと思われます。
日本画は、襖や障子、屏風、床の間にかける一幅の掛け軸などから生まれました。日本家屋から生まれた絵画の起源というテーマに、ひとり果敢に挑戦してきた田中芳の姿勢が、琳派的な花鳥風月の世界から、抽象的な“線”そのものに移行していく過程と重ね合わせてみることができるでしょう。


「私はいつも、作品が自画像の範囲で止まるのではなく、突き抜けて、その背後の“こと"の表現になり、それによって、鑑賞者の心を映すものになることを望んでいるー田中芳(個展「庭III」に寄せてより抜粋)」

【出品作品】《庭 II》1989 和紙に墨、銀箔、岩絵具 

庭と題された一連のシリーズでは、和紙に箔を貼り、墨や顔料で身近な植物を描くことが多い。作家自身が遺した言葉として、以下をご参照ください。

「私はいつも、作品が、自画像の範囲で止まるのではなく、それを突き抜けて、その背後の“こと”の表現になり、それによって、鑑賞者の心を映すものになることを、望んでる。作品の上で自己を超えるために、消そうとしても消しきれない自我を、十分意識するというところから出発し、偶然性を導入しつつ制作している。

日本寺院の庭園を見たときに感じる、自我がどんどん縮小し、それとは逆に、意識が拡大していき、宇宙の一部となったかのようなあの感じ—それはまさしく、私が作品を制作するにあたって望んでいる状態に限りなく近い—が、今回も私にタイトルを『庭』とさせた。実際に日本寺院の庭に見られる構造の、水平な広がりとそれを取り囲む要素、奥へと入りこんでいく視野の規制による過程の要素、時間による変化の要素、流線による連続性や「間」を含む不連続の要素などをヒントに、実際にそこで目にすることができる形を描き、できるだけ単一なイメージの押しつけになることを避けるよう制作した。

それにしても、ここ8年間テーマとしている受動的な草や木や石や土、そこに降る雨や雪、流れる水、吹く風の底にある、あのためらいなく私をときめかせ、制作へとかりたてる力は何であろうか。」(田中芳が個展に寄せたテキストより抜粋。)









庭II
1989
1750 x 900 mm
和紙に墨、岩絵具、銀箔

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