大地のコレクション展2022

エステル・アルバルダネ

エステル・アルバルダネ 1947 - 2003

エステル・アルバルダネ 1947 - 2003

長年にわたりバルセロナを中心に活動を続け、スケールの大きな立体作品のほか、油彩・モノタイプ・エッチングなど扱うメディアも幅広い。モチーフに頻繁に登場するのは女性で、海や魚、月、犬、果実などと組み合わされている場面が多い。画面全体は抑え目の色調で覆われ、地中海の優しくさわやかな風が吹いているかのようだ。一方で、日常の暮らしの中から考えさせる女性と社会の関係性や自身の遠い記憶なども盛り込まれ、作家自身の内面からにじみ出る風格が感じられる。
1979年以来、アートフロントギャラリーとの協力が始まり、90年代には仕事のためしばしば日本を訪れ、国内各地にパブリックアートを設置した。

■略歴
1947 バルセロナ生れ
1967 バルセロナ芸術上級校卒業
1974  フィレンツェ芸術アカデミー修了
1980 バルセロナ大学で教鞭をとる
1989  宮城県中新田町に滞在し、テラコッタの小さな彫像を制作
1993- 仕事のため、しばしば日本を訪れるようになる。
2003 逝去

■主な個展
1997 ヒルサイドギャラリー&アートフロントギャラリー / 東京
1996 《ラ・マル・デ・マル》ガレリア・マリア・サルバット / バルセロナ
1995 E.P. ギャラリー / デュッセルドルフ
1989 アートフロントギャラリー / 東京 (’80, 81, 83 ほか)
1971 アテナオ・バルセロネス / バルセロナ

■主なパブリックアート
1995 セプライ田園公園のための彫刻 バジリア近郊(ジュラ) / スイス
1994 《タチカワの女性たち》ファーレ立川 / 東京
    国立横浜国際会議場の壁画(300平方メートル)
1993  中央区女性センター(ブーケ21)に彫刻を設置 / 東京
1988 バルセロナのダロナ市の要請により、プラナ公園に大きな彫刻作品を設置

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《庭師の巨人》2000年 大地の芸術祭2000 photo: ANZAÏ

2000年の大地の芸術祭に、《庭師の巨人》と題された巨大な足と手をアルミで制作した。この作品に寄せられたテキストを読むと、広大な自然の中で巨人たちははるかな昔からこの地で庭師として働いてきたという散文がユーモラスに語られる。巨人たちは一日の大半を眠っているけれども、時として夢の中でのびをし、自分でも気づかないうちに地上に足や手を突き出してしまうことがある、その瞬間をとらえた作品になっている。

《庭師の巨人》2000年 大地の芸術祭2000 photo by Nakamura Osamu

木々の中に、散策道に沿って巨大な人間の一部分、顔、指、足などが所々に現れる。この地で遥かな昔から巨人たちは庭師として働いてきた。時として自分でも気づかないうちに地上に足や手を突き出してしまうことがあるという。庭師の巨人に導かれ、踏みしめる土や、背を覆う木々に宿る生命を感じながら歩こう。

【出品作品】《赤い女性の影》1995 キャンバスにアクリル、1160x890mm

バルセロナを中心に制作活動をしていたエステル・アルバルダネ。エステルの作品には、地中海を思わせる海や浜辺がよく登場する。遠くの島をみやっている女性は赤い影を落としている。影、月、女性の肢体などが一帯となって穏やかな空間を作り出している。"

《影》1995 キャンバスにアクリル、1160x890mm

上記の《赤い女性の影》と同時期に描かれた影。島や影を配した構図は似ているが、エステルの絵によく出てくる足首が水辺に浮いているよう。浮遊感のある風景画となっている。

大地の芸術祭 出展作品

赤い女性の影
1995
1160x890 mm
キャンバスにアクリル絵具

1995
1160x890 mm
キャンバスにアクリル絵具

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