大地のコレクション展2022

岡﨑 乾二郎

岡﨑 乾二郎 1955 -

岡﨑 乾二郎 1955 -

BankART1929池田修セレクションより出品 

1980年初頭から、絵画・彫刻・レリーフ・建築・ランドスケープデザイン・舞台美術など多岐にわたる創作活動を展開。造形作家であるのと並行して批評家としても活動を続けている。

■略歴
1955 東京生まれ。
1986 Asian Cultural Council の奨学金より渡米。
2001-23 近畿大学国際人文科学研究所四谷アート・ステュディウム主任ディレクター

■主な個展
2019 岡﨑乾二郎 視覚のカイソウ 豊田市美術館 / 愛知
2009 MOT コレクション 特集展示 岡﨑乾二郎 東京都現代美術館 / 東京
2002 ART TODAY 2002 セゾン現代美術館 / 長野
1991 Kenjiro Okazaki 1991 岡﨑乾二郎  ヒルサイドギャラリー / 東京
1988 Kenjiro Okazaki 1988 岡﨑乾二郎  ヒルサイドギャラリー / 東京

■主なグループ展
2019 PARERGON: Japanese Art of the 1980 and 1990‘s-Part II Blum & Poe, LA / USA
2018 起点としての80年代  金沢21世紀美術館 / 石川
2014 かたちの発語展  BankART1929 / 神奈川
2002 ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展 日本館ディレクター
1994 Japanese Art After 1945: Screaming Against the Sky  グッゲンハイム美術館, ニューヨーク/ USA, 横浜美術館 / 神奈川
1989 ユーロパリア’89 現代日本美術展  ゲント現代美術館 / ベルギー
1982 第12回パリ・ビエンナーレ

■主なパブリックコレクション
文化庁、国際交流基金、大原美術館、富山県美術館、兵庫県立近代美術館 、世田谷美術館、高松市美術館、大阪中之島美術館、北九州市立美術館、国立国際美術館、千葉市美術館、三鷹市、セゾン現代美術館 、東京国立近代美術館、大分市美術館、広島市現代美術館、いわき市立美術館、ベネッセ・アートサイト直島、岡崎市美術博物館、東京都現代美術館、愛知県美術館、豊田市美術館、杉並区、東京都立国際高校 東京都立蔵前工業高校、県立広島大学、ファーレ立川(立川市)、福山市、町田市市民プール、ゆめおおおかアートプロジェクト(横浜市)

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1982年パリ・ビエンナーレ招聘を皮切りに、Asian Cultural Council の奨学金により渡米、全米各地の建築や美術館を巡った。ヒルサイドギャラリーにて1988、1991年に幾何学的な立体の個展を行い、ファーレ立川には6個の換気口をカラフルな金網構造で覆う作品を恒久設置で制作した。2002「ヴェニス・ビエンナーレ第8回ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展」では日本館のテーマ展示《漢字文化圏における建築言語の生成》でディレクターを務めた。また公共のプロジェクトとして「灰塚アースワークプロジェクト」(1994-2003年)が挙げられる。これは広島市の灰塚ダム建設を契機として、三つの町が共同で立ち上げたプロジェクトでダム周辺の整備と文化振興をアートで推進することをめざしたもので岡﨑は長期にわたり相談役として関わった。

ヒルサイドギャラリー展示風景 1991 Photo by Jun Morioka  

《間違えもせず、手探りもしないで、まっすぐ食卓の上に手を伸ばす。それから、また壁に手を触れないで、三度跳んだら部屋の外だったが、扉を閉めるのを忘れていた。》2014  FRP  courtesy of BankART1929

今回、《大地のコレクション展》に出品される本作品は、池田修・BankART1929元代表(2022年3月16日逝去)が生前本展のためにセレクションしたものである。

作家より、本展のためにコメントを寄せていただいた。
「彫刻の歴史にとって人体が特別なモチーフでありつづけたのは、その外(から見た)形によるのではなかった。
 たとえば(人間を含めた)動物の体の運動を考えてみよう。たとえ個別の人体部位、筋肉だけが動いているように思っていても、小さな指の先だけを動かしても、実際は他のさまざまな筋肉が連動して動く、つまるところ体のすべての部位、筋肉はかならず連動している。その意味で身体はひとつの連続した運動装置である。
 たとえば右手の小指と親指が食卓の端にあるサクランボを摘もうとするとき、実際は上腕、手首、肘、二の腕、肩、肩甲骨、さらには腹斜筋、腰骨それを支える下肢のすべてが連動して動く。そしてわたしたちの体はその連動をひとつの動きとして把握している。この把握は内触覚=内臓的感覚といってもいい。小指と親指だけがサクランボを摘んでいると理解しているのは目だけである。いや、サクランボを目が捉えたとき、すでにわたしたちの体は動き出し、その連動ははじまっている。視覚的に捉えられないといったが、わたしたちはそれを美しい運動曲線としてイメージする。そして実際に効率的に運動が行われるとき力学的必然をおびて、身体全体がその運動曲線に沿っているように現れもするのである。
 この彫刻の元になったのはこんな発想だった。三つのそれぞれ独立した固有性(キャラクター)を持った形は互いに規定しあって連続した形態を作り出す。あるいはひとつの連続した大きな円弧(傾いたシリンダー)が三つの個性的形態を一つに連続させ=納めている。三つの形態は(親指、人差し指、中指のように)手の甲を丸くすぼめ、その内側にサクランボをきっと掴んでいる(のかも)。」

故池田氏と自宅近くを散歩している岡﨑乾二郎氏 courtesy of BankART1929

池田氏は、2014年の田中信太郎+岡﨑乾二郎+中原浩大「かたちの発語展」展に寄せて次のような言葉を遺している。

岡﨑乾二郎は、初期の発泡スチロールの小さなレリーフから始まり、ポリプロピレンを用いての不定形の彫刻やパッチワーク形式の大きな平面作品、幾何学のエレメントを用いながらもゆったりとしたフォルムの立体作品、粘土、石膏をもちいた力強いボリュームのある作品、1992年ごろから多彩に継続している絵画等、次々と表情豊かな作品群を表出してきました。
また、コミッションワークやランドスケープデザイン、建築設計等、仕事のスケールが大きくなっても、コンセプトと色彩と形はぶれることなく、その自由さと緻密さは保持され、多様な表現を展開してきました。さらにBゼミスクールから、四谷ARTSTUDIUMなどにかけての教育活動へ、刺激的な論考や雑誌、絵本やマンガ等による視線は、美術のみならず、建築、社会にも強い影響を与え、多くのファンを獲得してきました。

Kenjiro OKAZAKI (田中信太郎+岡﨑乾二郎+中原浩大「かたちの発語」展 個別カタログ 2014 BankART1929発行より抜粋)

大地の芸術祭 出展作品

間違えもせず、手探りもしないで、まっすぐ食卓の上に手を伸ばす。それから、また壁に手を触れないで、三度跳んだら部屋の外だったが、扉を閉めるのを忘れていた。
2014
1980 x 3400 x 1900 mm
FRP

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