大地のコレクション展2022

北山 善夫

北山 善夫 1948 -

北山 善夫 1948 -

竹や和紙を組みあわせた立体で知られるアーティスト。初めは染色の仕事をやりながら銅版画なども制作していた。1970年代から紙や石を使った作品を作り始め、関西の画廊を中心に竹や和紙を使った作品を発表。早くも1982年には川俣正、彦坂尚嘉とともに、コンセプチュアル・アートやもの派への批判という文脈の中で生まれた表現として第40回ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館に選ばれた。その後も亀岡のアトリエを拠点として精力的に平面・立体作品の制作を続けている。

■略歴
1948 滋賀県生まれ

■主な個展
2019 事件 MEM / 東京
2000 流出・産出・死出  名古屋芸術大学アート&デザインセンター / 愛知
1999 図 絵画 豊田市美術館 / 愛知
1994 大阪府立現代美術センター/ 大阪
1979-82 北山善夫展 靭ギャラリー / 大阪

■主なグループ展
2019 開館30周年記念特別展 美術館の七燈  広島市現代美術館 / 広島
2007 ルサイドギャラリー 新たな出発に向けて ヒルサイドフォーラム / 東京
2000 大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ  新潟
1999 彫刻の森美術館開館30周年記念展 森に生きる  彫刻の森美術館 / 神奈川
1994 ジャパン:今日の自然展 スピリット・スクエア、ノースキャロライナ / USA
1991 第7回インドトリエンナーレ  ニューデリー / インド
1983 第2回バングラデシュビエンナーレ  ダッカ / ニューデリー
1982 第40回ヴェネツィア・ビエンナーレ(日本館コミッショナー:たにあらた)

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《死者へ、生者へ》2000 竹、紙ほか  photo: ANZAÏ

廃校になった旧中里村立清津峡小学校土倉分校を使用した、竹と紙でできたオブジェによるインスタレーション。体育館の天井からは、羽根をつけた小さな椅子が無数に下がる。校舎全体には作者によるドローイング、死をテーマにした新聞の切抜きやメモ、在校生の写真、絵、送辞・答辞などが掲示され、過去の記憶に満ちている。外壁からは一対の翼が伸びている。北山は、「中里村の土倉集落は、小学校分校と墓をとなりどうしに置き、囲うように半すり鉢形をしている。さながら劇場のような地形だ。長い年月を脚本として、俳優である建物と人々と田畑や樹木は、時代と世界と宇宙を演じながら自らも観客としてきた。原作者や神か、大いなる想像者か。」と2000年の大地の芸術祭記録集で語っているように、作品の置かれた文脈を強く意識していた。

【出品作品】《画がかけそうではない》部分 2015~2016 鳥の子紙に顔料、インク 2200x1610mm

作家にとって、1982年に再開した絵画の世界は主に、細かい丸を画面いっぱいにロットリングで描く《宇宙図》と粘土で制作した人形を紙にインクで描き写していく《偶像図》から成る。15年ほど前に作家は、「私が今在ることのここはどのような場所なのか。絵画作品は宇宙図と偶像図から成る私と世界の歴史を主題としている。近代絵画の写真論をふまえ、この場所の絵画は存在するのか」と問いかけた(《ヒルサイドギャラリー 新たな出発に向けて2007》作家からのコメントから)。

今回出品された作品も宇宙図の一脈に連なり、オールオーバーな丸の集積が原子や分子のように宇宙を形作っている。作家にとって、これらの絵画は従来の意味での抽象画というよりも、量子力学的な視点から宇宙を描いた具象画であるという。近寄ると作家の息づかいが聞こえてくるような魅力的な作品になっている。

【出品作品】《極点》部分 2016~2017 鳥の子紙に顔料インク 2200x1610mm










大地の芸術祭 出展作品

画がかけそうではない
2015-2016
2200 x 1610 mm
鳥の子紙に顔料、インク
極点
2016-2017
2200 x 1610 mm
鳥の子紙に顔料、インク

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