大地のコレクション展2022

イリア&エミリヤ・カバコフ

イリア&エミリヤ・カバコフ 1933-, 1945-

イリア&エミリヤ・カバコフ 1933-, 1945-

イリヤは1933年、旧ソ連(現ウクライナ)生まれ。ニューヨーク在住。1950-80年代は公式には絵本の挿絵画家として活躍する一方で、非公式の芸術活動を続けた。80年代半ばに海外に拠点を移し、ソ連的空間を再現した「トータル・インスタレーション」をヴェネツィア・ビエンナーレ、ドクメンタ等に出展。1988年に、エミリア(1945年生)とのコラボレーションを始める。日本でも「シャルル・ローゼンタールの人生と創造」展(1999年)、「私たちの場所はどこ?」(2004年)、「イリヤ・カバコフ『世界図鑑』絵本と原画」展(2007年)等の個展を開催し、妻有では2000年「棚田」、2015年「人生のアーチ」を恒久設置したほか、2021-22年の妻有でも精力的に活動を続けている。2008年、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。

■略歴
イリヤ・カバコフ
1933 旧ソ連(現ウクライナ)ドニエプロペトロフスクに生まれる
1951-57 モスクワのスリコフ芸術学院でグラフィック・アートと本の挿絵・装丁を学ぶ
1956- イラストレーターとして絵本を手がける
1985 スイスのベルン美術館で海外初の個展


エミリア・カバコフ
1945 旧ソ連(現ウクライナ)ドニエプロペトロフスクに生まれる
1952-59 モスクワの音楽学校
1962-66 イルクーツクとドニエプロペトロフスクの音楽大学
1969-72 モスクワ大学でスペイン語と文学を専攻
1973 イスラエルに移住
1975~ ニューヨークでキュレーター、アートディーラーとして働く

■主な活動歴
2021 越後妻有で「カバコフの夢」を制作
2018 エルミタージュ美術館、トレチャコフ美術館で大回顧展開催
2017 テートモダンで大回顧展開催
2016 茨城県北芸術祭で「落ちてきた空」を展示
2015 大地の芸術祭で「人生のアーチ」を展示
2008  「イリヤ・カバコフ『世界図鑑』―絵本と原画―」展
モスクワで大規模回顧展 
2005  《手をたずさえる船》のプロジェクトを開始
2004 「私達の場所はどこ?」(森美術館)が開催
2003  ヴェネチア・ビエンナーレ参加。
2000 新潟・越後妻有アートトリエンナーレに参加、「棚田」を設置
1999 名古屋市白川公園に「彼らはのぞきこんでいる」を設置
「シャルル・ローゼンタールの人生と創造」(水戸芸術館現代美術センター)開催
1993 ヴェネチア・ビエンナーレにロシア館代表作家に選ばれる
1992 ニューヨーク・ロングアイランドに移る
架空の作家の展覧会「美術館での出来事、あるいは水の音楽」開催
ドクメンタIXに《トイレ》を出品
1991 「境界線の美術-絵画と彫刻を越えて」展(セゾン美術館、軽井沢)に出品するため初来日
1989-90 ベルリンに滞在して制作
1988 ヴェネチア・ビエンナーレに参加《夕食前に》を展示

■受賞歴
2008 高松宮殿下記念世界文化賞受賞
ロシア連邦友好勲章受賞

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2000年の大地の芸術祭から現在にいたるまで、カバコフ夫妻と妻有の縁は深い。伝統的な稲作の情景を詠んだテキストと、対岸の棚田に農作業をする人々の姿をかたどった彫刻を配置。農舞台内の展望台から見ると、詩と風景、彫刻作品が融合した形で現れる。

《棚田》大地の芸術祭2000 photo Nakamura Osamu

作家は記録集の中で、「遠方からやってきた旅行者にとっては、稲作という労働が記念碑を建てる価値のあるものであること、記念碑がどこからでも、どんなに遠くからでも見えるものであること、そして記念碑は英雄をたたえるものではなく、何世紀にもわたってこれあの田んぼで頑張ってきた普通の人々に捧げられているということで表現しようと考えました。」と語っている。

《10のアルバム 迷宮》2021 photo by Kioku Keizo
旧ソ連時代の1970年〜74年にかけて制作された。10人の夢想家を主人公とする物語とドローイングが描かれたアルバムを、迷宮のような形状の台座の上に置き、物語の世界に没頭できる仕掛けにしている。

《16本のロープ》2021 photo by Kioku Keizo
1984年以降カバコフが繰り返し取り組んでいる代表作の一つ。頭上に張り巡らされた16本のロープに紙切れや木片など約100個のメモが付けられた「ゴミ」がぶら下がり、メモには自然、子供、健康、家事、愛などをめぐる様々な会話が書かれている。

《手をたずさえる塔》2021 photo by Osamu Nakamura

《手をたずさえる船》2021, photo by Osamu Nakamura

《手をたずさえる塔》の内部には、2005年から世界各地で始まったプロジェクト《手をたずさえる船》の模型が展示されている。

【出品作品】《手をたずさえる船》2021 ジークレー版画 イメージサイズ 657x870mm

この作品は2005年に始まった《手をたずさえる船》のプロジェクト。エジプト、イタリア、アラブ(シャルジャ)、スイス(ツーク)、アメリカ(シカゴ)といった都市などを巡り、カバコフがデザインした船の上で子供の絵を組み合わせて帆をつくったもの。こどもたちが制作を通じて多様な文化を尊重しあうことを目指している。

手をたずさえる船
2021
image size 657 x 870 mm / 額装 1150x900x20 mm
ジークレー版画

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