Collections of Echigo-Tsumari Art Triennale 2022

Shinji Ohmaki

Shinji Ohmaki 1971-

Shinji Ohmaki 1971-

Born in 1971 in Gifu.
Ohmaki continues to work on the theme of what "existence" is. He usually changes the exhibition space into the extraordinary world, presenting dynamic installations and art works, which wake visitor's physical senses. In addition to solo exhibitions in Japan and abroad, he has continued to present works representing each international art festival such as Yokohama Triennale (2008), Setouchi Triennale (2010-), Asian Art Biennale (Taiwan 2011), Echigo-Tsumari Art Triennale (2015-), Aichi Triennale(2016), and European Capital of Culture (Netherlands 2018). Professor of Tokyo National University of Fine Arts and Music.

(Pic by paul barbera / where they create)

《影向の家》2015年 photo by Ishizuka Gentaro

2015年には、初めて《大地の芸術祭》に参加し、冬の越後妻有を目の当りにした作家が、降り積もる雪と水が空に還っていくイメージで作品を制作。《影向の家》とは、神の依り代である《影向の松》にヒントを得たという。最初の部屋では闇に自らの眼と身体を慣らしていくが、吹き抜けの空間を昇降する白い光の玉、それが落ちて割れるときに発せられる煙が床からまた天に昇っていく。冬には天から舞い降りて積もる光、夏には天に帰る光、そこにあるエネルギーのサイクル、アミニズム的な日本の神秘を表現するものとして注目を集め、会期中は列ができるスポットでもあった(2022年は公開休止中)。

《Echoes-Infinity -永遠と一瞬と-》 2016
Photo: Tetsuo Ito 2016 Aichi Triennale Organizing Committee

カラフルな顔料で花や植物を描く《Echoes-Infinity》 のシリーズは、これまで様々な形で表現されてきた。床や壁一面に顔料で花を描いた大規模なインスタレーションは2012年にシンガポールのサードフロアエルメスを初め、2016年のあいちトリエンナーレでも、来場者がその顔料の上を踏みしめて花の形状が崩れていく設えがなされ、消えゆく命のはかなさを体験する場となった。

《Echoes Infinity / 2018》 展覧会:「深みへ‐日本の美意識を求めて‐」2018 ロスチャイルド館/パリ 素材:フェルト、カーペット、蛍光灯、布、岩絵の具、新岩絵の具
サイズ:w 800× d 1050 × h 1230(cm)

それぞれの場所性を読み込み、新たなインスタレーションを生み出してきた。
「空間は彫刻の一部ではなく、空間こそが彫刻といえる」と語る作家はにとって、日本だけでなく国内外のあらゆる場がキャンバスとなっている。

【出品作品】《Echoes-Infinity》 2013
顔料、キャンバス、アルミニウム 1260φx 60mm photo by Hiroshi Noguchi

今回の出品作品は、植物紋様を円形のフォーマットの中に描いたもので、2013年台北での個展で発表された。Tree of Life と題された同展では、桜の木のシルエットが床から壁面いっぱいに描かれ、その上にこのようなカラフルな円形の花がいくつも配されていたという。描かれた花のモチーフは台湾の伝統的な織物などにインスパイヤされた植物紋様で、円形の中に軽やかに収められ、近寄ると顔料のエッジの美しさが目に飛び込んでくる。

このEchoes-Infinity のシリーズは、「消滅と再生」、「時間と記憶」などをテーマにした大巻の代表的なシリーズで、様々な場を舞台に展開してきた。資生堂ギャラリー(2005)、東京都現代美術館(2010)、エルメスとシンガポール美術館(2012)等での鑑賞者の身体全体を包み込むようなインスタレーションは、作品が消滅したあとも身体的記憶とともに人々の脳裏に残されているが、そうした体験がひとつの閉じた空間にギュっと詰まっているのが本作品といえるだろう。この夏、廃校を改築して2015年に生まれ変わった清津倉庫美術館の空間に呼応して、新たな輝きを放つに違いない。

Echoes-Infinity
2013
1260φx 60mm
pigments on canvas, aluminum

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