Collections of Echigo-Tsumari Art Triennale 2022

Michiko Nakatani

Michiko Nakatani 1981 -

Michiko Nakatani 1981 -

Born in 1981 in Tokyo. Resides in Mie.
Received VOCA Encouragement Prize in 2010. Completed Meisterschülerstudium at Dresden Academy of Fine Arts in 2012. NAKATANI creates a shape of an image with stories, molds it with plaster, takes out clay in the original shape from the template, pours transparent resin into the empty template allowing people to view sculptures from inside. Nakatani has been questioning "absence" and "reality" of images and "a sculpture as it ought to be" as she creates both 2D and 3D works.

近年、パブリックアートや様々な展覧会でも注目を浴びている中谷ミチコ--。

大地の芸術祭では、2018年に初参加し作品を発表しました。
地元の人々との交流を通して、出稼ぎやお嫁に来た時の話や、かつての上野集落の暮らしなどをお年寄りからリサーチ。それらをモチーフに、見る角度によって印象が異なるレリーフを制作しました。凹面でつくられたモチーフの中に透明樹脂が存在するその彫刻は「あることとないこと」を行き来する存在のように感じられ、また物語を紡ぐように公民館の内部の真っ白な設えに配置されたその彫刻は「真っ白な景色のなかに浮かぶ鮮やかな記憶」を表現し、人々の記憶に語りかける様な作品となりました。

《川の向こう、舟を呼ぶ声》大地の芸術祭2018/ 撮影:木奥惠三

そして、2021年にはリニューアルオープンした越後妻有里山現代美術館 MonETに常設作品《遠方の声》を設置。制作時のことを以下のように語っています。

「2018年、作品制作のために地域の方からの聞き取りをさせていただきました。雪深い時期に一軒一軒お邪魔すると、すぐに炬燵に招き入れられ漬物とお茶をいただきながらホコホコと緩やかな時間の中で、もしかしたらこのまま居眠りをしていっても許されるのではないかと思えるほどに暖かい優しい空気の中、鮮やかな昔話や幼い頃の思い出、お唄を伺った。親密で豊なそれぞれの記憶から生まれるイメージは真っ白な窓の外の雪原に投影される様でした。私はそのイメージをそのまま彫刻化し、上野公民館に個人的な祈念碑を制作しました。2021年、前回の様な訪問は叶いそうにありません。あの記憶に触れた時間自体が記憶となり、私はその糸を手繰り寄せています。コロナ禍で生まれた距離と、川の向こうで聞こえる声を重ねながら、イメージの実態を探るつもりです」(中谷ミチコ)

《遠方の声》越後妻有里山現代美術館 MonET 2021/ 撮影:木奥惠三

また、《遠方の声》の彫刻制作のために描かれたドローイング作品に現在「大地のコレクション展2022」で展示されている《潜む》があります。このイメージは、実際には彫刻になる事はありませんでしたが、中谷特有の物語を想像させるやわらかな世界観が詰め込まれているかのようです。

ドローイングは、中谷の制作の中で欠かせない創作の一部です。日常的にも、制作を続ける中でも中谷は数えきれないほどのドローイングを描いています。白い紙に彫刻を置くようなイメージでドローイングしたり、脳裏のイメージを紙の上に流す用に描き続けたり、、、ドローイングについて2021年の展覧会では「ドローイングみたいに曖昧なまま強いもの」への憧れと、マテリアルと対話し「存在」を確かめながら彫刻を作っていくことへの想いを語っていました。そのように、常にどちらも同等に創作活動の一部としてある「彫刻」と「ドローイング」を本展ではご紹介しています。

【出品作品】《潜む》2021、越後妻有里山現代美術館 MonETの為のドローイング

【出品作品】《風が溜まる身体》2021
<作家コメント>
「この前ね、風がすごく強かった日にね、お外に行って、ビューって吹いて飛んで行きそうになったの。とっても怖かったの。その後ね、小っちゃい風があるといっつも、頭の中がビュービュー風で一杯になっちゃうの。」
3歳の娘は春一番の日以来、玄関先に出る事さえ頑に拒む様になった。どんなに天気の柔らかな日でも、彼女の身体の中には嵐が吹いていたのだ。恥ずかしそうに小声で話した言葉に理解を示すと、彼女の顔の緊張が少しだけ緩んだ。
---中谷ミチコ

Hidden
2021
890x1885x80 mm
pastel on paper, panel
Body Where The Wind Stays
2021
390x230x70 mm
resin, plaster, pigment

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