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磯辺行久記念 越後妻有清津倉庫美術館[SoKo]が「東京建築賞 奨励賞」受賞
2019/06/16
山本想太郎が改修設計をおこなった本館、磯辺行久記念 越後妻有清津倉庫美術館[SoKo]が、「第45回 東京建築賞」の奨励賞を受賞しました。
同賞は、関東甲信越地方の優秀な建築作品を表彰するもので、一般社団法人東京都建築士事務所協会が主宰しています。
現在、美術館では 企画展「河口龍夫―時の羅針盤」を開催中です。更に評価を高めた建築作品とアート作品の融合をどうぞお楽しみください。
山本 想太郎(やまもと・そうたろう)
1966年 東京生まれ/1989年 早稲田大学理工学部建築学科卒業/1991年 早稲田大学大学院修了/1991~2003年 (株)坂倉建築研究所勤務/2004年~ 山本想太郎設計アトリエ主宰/東洋大学、工学院大学、芝浦工業大学非常勤講師/日本建築家協会デザイン部会長
選考評:
越後妻有アートトリエンナーレでは辺境の地に重要拠点を配置するというコンセプトであるそうだ。まさに雪解けの清流が小川に滔々と流れ込むころ、山間部にある廃校を改修した美術館を審査に訪れた。
校舎は「磯辺幾久記念館」として、時に作品を替え展示する。体育館は美術品を保管する倉庫として位置づけ、いつでも美術品を売却可能、またその大らかな空間を展示空間として利用することで、今までにはない作品への試みも期待される。そこで設計者が計画した改修の方針は、限られた予算を考慮し、撤去・付加いずれも最小かつ単純に、付加や変更した部分はグレー色を用いて、より効果的に、そしてわかり易く表現している。既存の赤い鐵のトップライトも美術品とは抵触しない位置ということで再利用し、卒業生たちの記憶の継承に努めている。
体育館は創作現場のような荒々しいしつらえが心地よく、外部の環境も受け入れ、いつまでも完結しない。空間を構成する要素が少ない故に、さらに手を加える可能性も感じた。
十日町に散らばる芸術の種を身近に感じながら暮らす人びと、特に子どもたちの心に芽生えることを聞いてみたいと思った。
そこにある物を認め、利用しながら創作を続ける楽しみは芸術作品のみならず、器としての建築もまた作品である。(平倉 直子)
平倉 直子(ひらくら・なおこ)
建築家、平倉直子建築設計事務所主宰
1950年 東京都生まれ/日本女子大学住居学科卒業/日本女子大学、関東学院大学、東京大学、早稲田大学等の非常勤講師を歴任